猫のてんかんと治療について 飼い主が知っておくべき基礎知識
犬と比べると、猫がてんかんになる確率は低いといわれています。
ですが、その分猫のてんかんの情報が少なくて困っている飼い主さんも少なくはないでしょう。
そこで今回はてんかんの症状や治療内容についてご説明します。
猫とてんかん
「てんかん」は病気そのものを指すものではなく、てんかん発作を繰り返してしまう脳の病気の総称です。
そのため一口にてんかんといっても、その原因となる病気は様々。 原因次第で治療内容や完治に対する観測が異なります。
てんかんの原因は、大きく次のふたつに分けられます。
症候性てんかん
脳損傷が原因によるてんかん。 脳炎や腫瘍、外傷等で多くみられます。さらに先天性・後天性のものに分けられます。
特発性てんかん
脳損傷のような明らかな原因がないにもかかわらず起こるてんかん。
つまり、「原因不明」ということですが、遺伝が関わっている可能性が示唆されています。
てんかんの症状
てんかん発作は、軽度から重度のものまで様々です。
軽度であれば顔面の一部が痙攣する程度ですが、重度になると意識を失いその場に倒れ、痙攣・失禁などの激しい症状を起こします。
その後しばらくすると発作がおさまり、なにごともなかったかのようにケロリとしている……というところまでが発作の一巡です。 発作で命を落とすことは稀ですが、発作中に嘔吐してその吐しゃ物で窒息したり、頭などを強打するなどの二次的な死亡要因が多く見られます。
このてんかん発作が30分以上続く、もしくは24時間以内に3回以上の発作が起きる場合は「てんかん重積」とされ、早急な治療が必要です。
死の危険が伴うので、発作が10分以上おさまらない場合は速やかに動物病院を受診してください。
てんかんの治療内容
てんかんの原因が判明している症候性てんかんであれば、疾患にあわせた治療を行います。
一方、原因不明の特発性てんかんには、抗てんかん薬による投薬治療がメインになります。
抗てんかん薬は長期の服用が必要です。 「1回薬を飲ませたら落ち着いたからもう大丈夫」なんて勝手な判断で服用を中止するのはNG!
むしろ、その行為にはてんかん発作をより悪化させる危険性があります。
副作用の反応を観察しながら、根気よく治療を続けることが大切です。
費用は治療内容によって異なりますが、最初は原因特定のための血液検査やMRIなどの検査で5万円程度。
さらに投薬などもあるので、トータル10万円前後になることも。 また、継続的な抗てんかん薬の処方は月に1万円前後になるとされています。
てんかんの猫のためにできること
発作が起きるタイミングは誰にもわかりません。
猫が倒れてもケガをしないように、安全な環境作りが必要です。
例えば、家具の角にケガ防止用のグッズを使ったり、床にクッションマットやカーペットを敷いたりと、できることは意外にあります。
発作が起きたら、毛布やクッションで猫の体を保護しつつ周囲から危険物を遠ざけてください。
猫が高所にいる場合はもちろん床へ移動をします。
また、吐しゃ物がのどに詰まらないように、顔を動かして口元を低くしましょう。
まとめ
基本的に経過を見守ることしかできないてんかん発作。 飼い主にとっても辛く、うろたえてしまう時間ですよね。
ですが、飼い主の動揺は少なからず猫にも伝わります。
猫の発作時でもまずは落ち着いて、猫の身の安全を確保することを心がけましょう。